遺言相続に関する注意事項(介護の寄与分、遺産分割協議後の遺留分請求)
2020/05/24
今回は、介護に対する寄与分と遺産分割協議後の遺留分請求についてです。
例えば、親の介護に対する精神的・肉体的な負担に対する寄与分の考え方。
また、一度、遺留分相当額より少ない額で分割協議に合意して、遺産分割協議書を
作成した後に、改めて遺留分を請求することの是非について考えます。
まず、寄与分に関しての法律は「共同相続人の中に被相続人の事業に関する労務の
提供または財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産
の維持又は増加について特別の寄与」があった場合、その分を寄与分として扱う事、
と定められています。
介護の場合でも、被相続人が負担すべき費用を特定の相続人が支弁した場合に、そ
れにより被相続人の財産が維持された事になれば、その費用負担分が寄与分として
考慮すべきことになります。 しかしながら、単に献身的な介護をしただけでは不
十分で、扶養義務を超えた義務の履行であることが必要になります。
裁判例として、
① 被相続人が死亡するまで、25年間にわたり共に生活し世話した長男に認められ
た例
② 三度の食事の世話、排便の対応、外出時の付き添いなど献身的に被相続人を介護
した相続人に対して、介護の日当を8000円と定めた裁判例
また、寄与分の算出方法の例として、
(相続人の介護が無ければ必要となったであろうヘルパーの日当×療養介護日数×
裁量的割合)、とか、(介護報酬基準額×療養介護日数×裁量的割合)
などがあります。
※裁量的割合とは、裁判所が個別事案に応じて判断する割合を言います。
遺産分割協議の成立につき、作成過程に誤認や錯誤あるいは相続人の一部が欠けて
いるなどの欠陥事由、無効、取消要因などが無い限り、有効に成立した遺産分割協
議を再度やり直すには、相続人全員の合意が必要です。
以上
~岡山の倉敷市で開業、遺言相続のことは、秋間行政書士事務所で承ります~