遺言相続に関する注意事項(全財産を1人に相続させる遺言)
2020/02/24
今回は、全ての財産を1人に相続させる遺言についてです。
例えば、両親と兄弟の4人の家族を想定し、母は既に亡くなっているとします。
両親は長年兄夫婦と同居していたが、お互いの夫婦間での仲が悪くなり母親の死亡
後、父は兄夫婦の家から出て1人暮らしを始め、父の面倒は弟が見ています。
このような状況で、高齢の父は遺言書を書くことを考えており、全財産を弟に相続
させる内容にしたいと、弟に話しています。
以上のような場合での遺言に関し、以下のようなことが考えられます。
1.兄夫婦の家での同居期間の生活費の扱い(寄与分)
2.兄弟の学歴は、兄は高校卒業で弟は大学院卒業での学歴差(特別受益)
3.兄の遺留分減殺請求権
遺言の場合は、基本的に寄与分とか特別受益は考慮する必要は無く、相続時の全て
の財産について遺言の内容により相続されることにになります。
しかし、この場合でも、遺留分減殺請求権は存在します。
遺言が存在せず、遺産分割協議をするのであれば、寄与分・特別受益は考慮の対象
になります。 例えば、同居時の生活費は扶養義務の範囲内か、学歴の差に関して
は、アルバイト・奨学金を含めて検討する事になります。
以上を踏まえて、出来る限り紛争を避ける意味で次のような対応が一つの方法とし
て考えられます。
1.父の考えは、遺産相続に関して、弟のみに相続させる意思を明確に示している。
2.付言事項として、どうしてそのような考えに至ったかを追記してもらう。
3.可能であれば、兄に家庭裁判所で遺留分放棄をして貰う。
4.少しでも兄の相続分の考えがあれば、四分の一を遺留分として記載する。
5.遺言とは別の財産の移動方法として、民事信託を活用すれば、遺留分の心配は
避けられます。 但し、財産によっては信託できない場合もあるので専門家に相談
する必要があります。
~岡山の倉敷市で開業、遺言相続は秋間行政書士事務所で承ります~